グアンタナモ、僕達が見た真実 THE ROAD TO GUANTANAMO / 2006 / UK
STORY
タイトルの「グアンタナモ」とは、キューバ東部で、米軍基地が置かれている敷地。アフガニスタン侵攻後に捕らえられたテロリスト容疑者たちが送り込まれ、取り調べを受ける場所である。本作は、テロリストと勘違いされてグアンタナモに送られた青年たちの運命を、モデルとなった本人のインタビュー映像も交えて再現した、いわゆる「ドキュ・ドラマ」だ。イギリスに住むパキスタン人青年が、母親が見つけた相手と結婚するため、式を祝う2名の友人を伴ってパキスタンへ向かう。隣国アフガニスタンの状況を知った彼らは、何か援助活動をできればという軽い気持ちでアフガンに入ったところ、身柄を拘束されてしまうのだ。
無実であるにもかかわらず、イギリスに潜伏していたテロリストと勘違いされる過程が、背筋も凍るリアル描写で展開。米軍側の虐待は、肉体的拷問はもちろん、大音響の密室に監禁し、イスラム教の信者にとって命より大切なコーランを捨てるなど、ショックを通り越していく。演じる新人俳優たちのまっすぐな表情と、モデル当人たちの淡々とした回想の相乗効果も、悲劇性を際立たせる。この映画が描くことすべてが真実であるなら、世界は本当に恐ろしい状況に陥っていることを実感するだろう。どんなニュース映像にも負けない、「映画」としてのパワーが、ここにある。(斉藤博昭)
無実であるにもかかわらず、イギリスに潜伏していたテロリストと勘違いされる過程が、背筋も凍るリアル描写で展開。米軍側の虐待は、肉体的拷問はもちろん、大音響の密室に監禁し、イスラム教の信者にとって命より大切なコーランを捨てるなど、ショックを通り越していく。演じる新人俳優たちのまっすぐな表情と、モデル当人たちの淡々とした回想の相乗効果も、悲劇性を際立たせる。この映画が描くことすべてが真実であるなら、世界は本当に恐ろしい状況に陥っていることを実感するだろう。どんなニュース映像にも負けない、「映画」としてのパワーが、ここにある。(斉藤博昭)
Part drama, part documentary, The Road to Guantánamo focuses on the Tipton Three, a trio of British Muslims who were held in Guantanamo Bay for two years until they were released without charge.
- 監督
- Mat Whitecross, Michael Winterbottom
- 出演
- Riz Ahmed, Farhad Harun, Waqar Siddiqui, Arfan Usman
REVIEW from 「文芸ジャンキーパラダイス」
実話。3人のパキスタン系英国人青年がイスラム過激派と見なされて米軍の収容所(カリブ海のグアンタナモ米軍基地)に送られ、拷問を受け続けて2年後に無実が判明、釈放される。家畜のように野ざらしの檻に入れられ、会話を禁じられ、憔悴していく青年たち。人権を無視した米軍の拷問が詳細に描かれ、見てるだけで息苦しくなった。“もし自分が国際テロ犯として誤認逮捕され収容所で拷問されたら?”。映画を見る前にその気持ちを想像しようとしたけど、あまりに実生活とかけ離れすぎて考えることが出来なかった。裁判抜きで拘束され、いつ釈放されるか希望のない状況で、精神を正常に保ち続けることは可能なのか。この映画を観なければ気付かなかったことも多いので、未見の方はぜひレンタルをお薦めします。from : 史上最強の超名作洋画ベスト1000
*本レビューは、「文芸ジャンキーパラダイス」管理人様の許可を得て転載しております。