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白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々 Sophie Scholl - Die letzten Tage / 2005 / Germany

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

STORY

1943年2月のドイツ、ミュンヘンでヒトラーの政策に反対し戦争終結を訴える非暴力的レジスタンス“白バラ”の紅一点ゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、兄ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)と共に大学でビラを撒いた罪で、ゲシュタポに捕らえられてしまう。ベテラン尋問官モーア(アレクサンダー・ヘルト)に対し、彼女は冷静を装い、自分の無実を主張するが…。
ナチス・ドイツ政権に抵抗し、処刑された女学生ゾフィー・ショルの勇気を描いたメルク・ローテムント監督によるヒューマン映画の秀作。いわゆる悲劇と感動の戦争実録秘話ものに留まらず、ヒロインと尋問官との心理的駆け引きなどのサスペンス構築も非常にスリリングにできており、映画そのものとして大いに評価できる逸品である。また同時期に製作された『ヒトラー 最期の12日間』と対にして観ることで、当時のドイツが置かれていた状況も、より深く見えてくることだろう。必見。(増當竜也)
from:amazon

A dramatization of the final days of Sophie Scholl, one of the most famous members of the German World War II anti-Nazi resistance movement, The White Rose.

監督
Marc Rothemund
出演
Julia Jentsch, Fabian Hinrichs, Alexander Held

IMDb Rating:

7.7

REVIEW from 「文芸ジャンキーパラダイス」

06年のアカデミー外国語映画賞ノミネート作。素晴らしかった!1943年に起きた実話の映画化だ。公式サイトの予告編でもDVDの箱でもストーリーが全部出ているので、今回はこのレビューも完全ネタバレでいきマス。主人公はミュンヘン大学の21歳の女学生ゾフィー・ショル。彼女と仲間は、“打倒ヒトラー”を呼びかけるビラを大学構内で撒いてゲシュタポ(秘密警察)に逮捕され、わずか5日後に反逆罪で処刑された。通常49日かかる裁判をたった1日で終わらせ、判決当日に刑を執行した権力者たち。彼女らは要人を暗殺したテロ犯でも、国家機密を他国へ流したスパイでもない。ヒトラー批判の言葉を街角に書き、ビラを撒いただけ。非暴力で抵抗を試みた若者たちを、なぜ大慌てで処刑せねばならぬほど、ナチスの大人たちは恐れたのか。学生らは謝罪し反省する態度を示せば、思想犯として収監されて助かったかも知れない。だが、彼女らは一言も詫びなかった。仲間には最前線からの帰還兵がおり、ヒトラーが宣伝する“ドイツ優勢”が嘘であることや、ドイツ軍による非人道的行為を目撃していた。「大人がヒトラー打倒に動かないなら自分達が立ち上がる」、その信念は揺らがなかった。この映画が制作されたきっかけは、90年代に入ってゲシュタポの尋問調書が発見されたこと。記録によって逮捕から処刑されるまでの彼らの心理に迫ることが可能になった。取り調べ尋問官や裁判長との論戦では、堂々と渡り合い見事に相手を論破していた。この映画は単にナチスの悪を描いたものではなく、人間の勇気を描いた作品だ。/両親との最後の面会からラストまでの数分間は涙腺が大決壊。まさに滝泣き。両親はこの場面しか出て来ないんだけど、あまりに母親役が素晴らしすぎる。あのとてつもなく優しい目!今まで数多く映画を観てきたけど、あんなに心に残る瞳は滅多にない(ほんのワンカットなのに!)。処刑の直前、学生たちは「この死は無駄じゃない」と静かに抱擁しあった。人によっては死を前に取り乱し暴れる者もいるだろう。僕は、“この死には意味があると思えたら、死を受け入れることが出来るのか!”と深く感じ入った。事実、彼らのビラは翌年に連合軍によってドイツの空から撒かれ、多くの国民にメッセージを伝えることに成功したのだった。レビューの最後は出演俳優アレクサンダー・ヘルトの言葉で締めたい。「現在に生きる人間は、当時のゾフィーたちほどの勇気を出す強い力は必要ないかも知れない。それでも、比較的自由である現代でも、自分の意見や信条を明らかにしていく場面はあると思う。私たちがゾフィーのように実践できるようでありたい」。
※ベルリン国際映画祭(2005)銀熊賞(監督賞)、銀熊賞(女優賞)
from : 史上最強の超名作洋画ベスト1000
*本レビューは、「文芸ジャンキーパラダイス」管理人様の許可を得て転載しております。

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