Wars / Incidents

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ミュンヘン MUNICH / 2005 / France, Canada, USA

ミュンヘン

STORY

1972年のミュンヘン五輪。パレスチナ人ゲリラが11人のイスラエル選手を人質にとる。結局、人質は全員死亡。スピルバーグ監督が歴史の暗部を直視した本作は、その後、イスラエル側による報復作戦にフォーカスが当てられている。暗殺グループとして組織された5人の工作員が、事件に関与したとされるパレスチナの重要人物を標的に、ヨーロッパ各国で暗躍。次々と彼らを暗殺していく。
スピルバーグの視点は、あくまでもニュートラルな立場を貫き、イスラエル、パレスチナのどちらかに肩入れすることはない。実際のニュース映像も挿入した五輪の事件や、前半の暗殺シーンは、徹底してリアルで、ときには過剰なまでのグロテスクな描写もある。中盤からは、立場が変わって命を狙われる工作員の心理ドラマが観る者を圧倒。報復の虚しさが伝わる展開になっている。工作員のリーダーを演じるエリック・バナが、その葛藤を全身全霊で体現。ラストシーンはニューヨークなのだが、その風景に追加された「あるもの」の映像もまた、終わらない報復の悲劇を訴えているようだ。(斉藤博昭) from:amazon

Based on the true story of the Black September aftermath, about the five men chosen to eliminate the ones responsible for that fateful day.

監督
Steven Spielberg
出演
Eric Bana, Daniel Craig, Ciarán Hinds, Mathieu Kassovitz

IMDb Rating:

7.6

REVIEW from 「文芸ジャンキーパラダイス」

スピルバーグ作品の中で間違いなくベストワン!パレスチナとイスラエルのテロの報復合戦を克明に描写し、テロ首謀者を倒しても一層過激な後継者が生まれるだけという憎しみの地獄ループを、恐ろしいほどリアルに描き出している。メルヘン・チックな『E.T.』と同じ監督とは到底思えない。スピルバーグはユダヤ人として『シンドラーのリスト』を撮っているのに、今作ではパレスチナ人に夢や理想を語らせていることから、ユダヤ社会で“裏切り者”と非難されている。実際、劇中ではイスラエルの高官を非情な役人とし、暗殺の対象となったパレスチナの指導層の方を、知的でユーモアがある紳士として捉えていた。監督の勇気に脱帽。上映後10分近く座席から立てなかった(ラストに映った“某建物”を見てたまらず号泣)。ハリウッドは娯楽映画だけじゃないぞ」という、米国映画人たちの誇りを実感した。
※ノミネート…アカデミー作品、監督賞。
from : 史上最強の超名作洋画ベスト1000
*本レビューは、「文芸ジャンキーパラダイス」管理人様の許可を得て転載しております。

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