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ジョニーは戦場へ行った JOHNNY GOT HIS GUN / 1971 / USA

ジョニーは戦場へ行った

STORY

戦争によって“意識ある肉塊”と化したひとりの青年を描いたD・トランボの小説を、38年の発表から数えること33年、ようやく自身の脚色・初監督で完成させた異色作。ジョーは今、野戦病院のベッドで静かに横たわっている。第一次大戦の中、彼はほとんどの器官を失う大怪我を負いここに運ばれてきたのだ。目も見えず、耳も聞こえず、喋る事もできず、唯一性器だけが人間として残された印だった。真の暗闇の中でジョーは想う。釣り好きだった父と過ごした日々や、出征前夜に恋人と交わした愛の営み……。やがてひとりの看護婦がジョーの胸に書き記した文字によって彼は外界との繋がりを持つのだが……。あまりにも辛く、あまりにも悲しい物語。現在のシーンは凍て付くようなモノクロで描かれ、歓喜に満ちた過去のシーンは色鮮やかなカラーで描かれ、そのギャップはなおさら彼を取り巻く非情さと悲劇色を強くする。お涙頂戴ものなど足元にも及ばない圧倒的な説得力を持った反戦ドラマ、トランボ渾身の一作だ。 from:allcinema

A World War I soldier, rendered blind, deaf, limbless, and mute by a horrific artillery shell attack, finds a unique way of communicating with his doctors.

監督
Dalton Trumbo
出演
Timothy Bottoms, Kathy Fields, Marsha Hunt, Jason Robards

IMDb Rating:

7.9

REVIEW from 「文芸ジャンキーパラダイス」

第1次世界大戦に出征したジョニーは、砲弾を浴びて両手両足を失い、さらに聴覚、視覚、嗅覚、味覚のすべてを奪われてしまう。軍高官や軍医はジョニーが生きてるだけで「意識がない存在」として扱うが(ジョニーが首を動かしても無意味な動物的反応と判断)、実はジョニーの意識はハッキリとしており、必死で軍医たちに“まだ物体ではない”ことを訴えようとする。一体どうすれば自分に思考能力があることを伝えることが出来るのか…。そんなある日、ジョニーは画期的な方法を発見する!彼は唯一動く頭部を上下に動かして軍医にモールス信号を送った、「キル・ミー」と…。反戦映画だけでなく、この世にある映画の中で、最も絶望的な作品だろう(だからこそ逆に見て欲しい)。クリスマスに看護婦が「メリー・クリスマス」とジョニーの胸に指先で書くシーンに号泣。生命の尊厳をテーマにした、一生に一度は見ておくべき映画。
監督は原作小説を書いたダルトン・トランボ自身。トランボは1939年に原作を執筆し、1947年に赤狩りにあうが議会で証言を拒否。議会侮辱罪で獄中に入る。出所後は米国を追われてメキシコに移住。偽名で脚本を書き続け、『ローマの休日』ではイアン・マクレラン・ハンターの名でオスカーに輝いた。そしてベトナム戦争の最中の1971年に(当時65歳)、生涯唯一の監督作としてメガホンを取ったのが、この『ジョニーは戦場へ行った』だった!原作の発表から32年目に映画化を実現させ、その8年後にトランボは他界した。

※1989年、ヘヴィメタル・バンドのメタリカのメンバーは、この映画に強い衝撃を受け、機関銃や砲撃音で始まる7分24秒の傑作『ワン(One)』を書きあげた。歌の中で主人公は「地雷が視界を遮る/僕の会話も視覚も奪い/腕を足を奪い魂も奪って/地獄のような生に僕を置き去りにする」「今、世界は消滅し、僕はただ独り/神よ、死を望み息を止める僕に救いの手を/どうぞ神よ救いの手を」と絶望的な叫びをあげる。プロモーション・ビデオには映画のカットが大量に使用され、この映画を知らない若い世代の強烈なインパクトを与えた(“One”7分2秒。最初はレクイエムの如く静かに始まり、4分を過ぎた辺りから怒涛の展開へ)。それまでマッチョ系の単純な歌詞が多かったヘヴィメタル界にあって、孤独の極限を歌い上げる高い精神性の楽曲がここに誕生した。グラミー協会では「この曲を特別に讃えるべきだ」という声が沸き起こり、なんと“One”の為にヘヴィメタル部門が新たに設けられ、同曲が栄えある第一回受賞曲となった!
※カンヌ国際映画祭(1971)審査員特別グランプリ、国際映画批評家連盟賞
from : 史上最強の超名作洋画ベスト1000
*本レビューは、「文芸ジャンキーパラダイス」管理人様の許可を得て転載しております。

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